フィレンツェでの3日目は、歩いてすぐのウフィツィー美術館で、ランチをはさんで数時間を過ごしました。その日の晩は、フィレンツェに20年以上住んでいるヨーコさんとディナーに行く約束をしていました。
にも関わらず、アパートへ着替えに帰るや否や猛烈な睡魔に襲われ、約束をすっぽかして大爆睡してしまいました。
気がつけば夜中。携帯電話にはおびただしい数の着信記録があり、リビングルームのテーブルには、アパートをシェアしたS夫妻からのメモが残されていました。内容は、何度ノックしても返事がないのでふたりで食事に出かけます。というものでした。
3人には、たいへん申し訳ないことをしてしまったと深く反省しながら、冷蔵庫にあるもので夕食をすませました。
その翌日、なんと、3人ともインフルエンザと思われる症状でダウンしてしまったのです。そういえば、美術館でも変な咳をしている人がたくさんいました。S夫妻はアムステルダムの自宅に帰った後もしばらく咳や高熱などの症状が続いたそうです。
私たちは、おせっかいな幽霊たちに眠らされたおかげなのか、お香やポプリで身の回りが清浄に保たれて免疫力が高まっていたせいなのか不明ですが、なにしろ無事に過ごし、帰国することができました。
日本へ帰る飛行機の中も、具合い悪そうに咳をしている人でいっぱいだったんですよ。
かつてペストのパンデミックから身を護るために使われた香りの知恵のおかげだと思っています。
おわり