本日の漢方薬学は、内科医のN川先生による特別講義。「分子レベルで疾患を語る今日、なぜ今さら漢方か」というお話しでした。
漢方薬は、作用機序が不明なものが多いにもかかわらず、数千年も前に書かれた処方が今なお臨床の場で十分に有効であることや、東洋医学(漢方)の考え方や認識の中に医療の原点がある。例えば、ガンなどの病気そのものを治療することができないとしても、患者のからだに触れ、処方し、便秘や食欲不振などの不快な症状をとりのぞくはできるということ。
そして東洋医学に底流する“自然への畏敬”、“人間は大自然の一部である”、“自然は征服するのではなく、従うもの”などの思想は、今後ますます重要になるということ。
いくつかの臨床例から、「漢方薬は病気ではなく病人を治療する薬である。個々の生薬の薬理成分ばかりでなく、全体としてものを見ることが大切。」ということを学びました。
日本東洋医学会学術総会のシンポジウムのテーマが「湯液と鍼灸の統合」というのも興味深いです。